
| 迷信や墓相に戸惑わないために | ||
| 中国の古い時代では、国の政治方針を決めるのに占いの専門職をおいていました。 お墓を建立する際にも、墓地の吉凶を占ったことは言うまでもありません。 実際には占うというよりは、むしろ地勢や水利、風当たり、太陽に対する方向を決めるといったことで、極めて常識的な考え方で墓地を選定していたのです。 これが本来の墓地相(家の場合には家相という)と言うものでしょう。 それが時代をへるにしたがってそういった吉相の墓地にお墓を建立することが祖先に対する最良の供養であり、家族や子孫に幸福をもたらすと言われるようになりました。 この段階まではそれほど問題は無かったと言って良いでしょう。 しかし、考え方は次第にエスカレートしていき、先祖を祀るという本来の考え方が二次的なものになり、今日では現在の自分たち家族や子孫の健康とか財産の増減に結びつけた、いわゆる墓相がはびこる羽目になっています。 言うまでもなく、お墓の建立は大切な仏事の一つです。 それがこれまできっちりとしたお墓造りの考え方がなかったばかりに、ごく一部の墓相にかき回されてしまったという感じがします。 その影響は大きく、単に迷信だと片づけるにはあまりにも害が多すぎると思います。 | ||
| 墓相家は、人の弱みにつけ込みます | ||
| 墓相で言われていることの多くは、根拠のないものです。 しかし、自分で判断がつかないことについて「良くない」と言われれば、気になるのが人間というものです。 墓相家は、その人間の心の弱さをよく心得ていて、つけ込むすべを知っているように思います。 お墓の石材質とか形とか傷とかが、関係者たちの病気、けが、寿命、財産を左右するなどというのですから、悪質です。 そして、善良な人たちから財産を巻き上げ、迷いのある人だけがいいカモになってしまいます。 「こういうふうにしないと不幸を招くぞ」といわれたら、それが科学的に割り切れて完全な答えが出ないものだけに、迷いのある人はなかなかこれに逆らって行動することができないものです。 しかし、そういう墓相がどんなに不合理でナンセンスな迷信であったとしても、気にする人はなんと言っても気にするでしょうし、いったん信じ込んでしまったら、なにを言っても無駄でしょう。 また、それを信じる人にとっては、きっとそれなりの満足感があるのかもしれません。 ですから一概に迷信だと片づけるつもりはありません。 墓相を信じるか信じないかは、お墓を建てる人の心の問題だからです。 その人が納得できるのなら、それはそれなりに、その人にとっては良いことなのでしょう。 ただいえることは、よいお墓とは仏様とご先祖様を祀る心のこもったお墓であるということ、これを忘れないようにしていただきたいということです。 | ||
| 墓相家は、宗教から離れたものの考え方をします | ||
| 多くの墓相家の意見が統一されているわけではありません。 それぞれに食い違いがあったり、時には逆の説があったりします。 墓相家に共通しているのは、宗教観が無いと言うことです。 仏様と先祖を祀るためのお墓が、仏教を抜きにしてあれこれと語られるのは実におかしな話です。 仏様を迎えてお祀りするという考え方など、何処かへ忘れてきてしまったのでしょうか。 一般の人がお墓や宗教のことをよくご存じないのをいいことにして、好き勝手なことを言って善良な市民を惑わしています。 もちろん宗教家は、ほとんど墓相を否定しています。 仏の教えに導かれて悟りを得ようとする人たちを、墓相家たちは「タタリがあるぞ」とおどかして動かそうとしているのですから、相手にされないのはあたりまえです。 一つのお墓に各宗派の仏様の表現をごちゃ混ぜに入れたり、戒名「または法名」が悪いと言って変えさせたりする墓相家がいるかと思うと、五輪塔や梵字を使わない真宗の門徒に、そういうものを平気で勧める墓相家もいます。 もっとひどいものになると、墓石に「南無阿弥陀佛」と彫ったら家が絶えると言う悪墓相家もいるのです。 もうあいた口がふさがらないというかお釈迦様がお聞きになったら腰を抜かして驚かれるような説を恥ずかしいとも思わず主張するのですから、悪墓相家のレベルはだいたい想像できると思います。 中には一般のお墓は遺体や遺骨を祀るもの、吉相墓は霊魂を祀るものなどと解ったような解らないことを言って、できるだけ神秘的に感じさせようとしている墓相家もいます。 | ||
| 墓相家は先祖のタタリがあると言いますが | ||
| 墓相家は、墓相で吉凶を占い、何かと言うと、バチが当たるとか、タタリがあると脅かします。 しかしよく考えてみてください。 子供のことをいちばん心配してくれるのは親です。 その親を祀っているのに、どうして子供にバチを当てたり、タタったりするでしょうか。 そんなことは絶対にありません。 墓相家は、タタリを実証するためにどの様な手口を使うかをみてみましょう。 例えば、すでに死んだ有名人や功成り名をとげた人を対象にして、その人の運勢を逆にお墓にあてはめるというやり方をします。 このやり方なら、どんな人でも生涯のうちには浮き沈みは結構あるわけですから、なんとでもこじつけができるというものです。 「有名人や功なり名をとげた人たちすべてが自分のお墓を生前に建てたわけではない」また、例えば墓相と関連する因縁話をたくさん集めたとしましょう。 十歩譲って、それらの因縁話がすべて事実であったとしても、その事実の拾い出し方に偏りがあったら、つまりそれらの因縁話と正反対の事実がたくさんあったとして、それらを無視して自分に都合のよい話ばかりを集めて持ちかけてきたとしたら、これはもうタチの悪い脅し以外の何物でもないでしょう。 | ||
| 墓相家は、家運や子孫の繁栄を問題にしますが | ||
| 墓相家は、このように亡くなったご先祖を祀ることをそっちのけにしてしまっています。 そして家運や建立者たちの利害ばかりを問題にします。 お墓は建立者のためのもではなく、亡くなったご先祖のためのものです。 この点を取り違えてよく解っていないために墓相家につけ込まれるのです。 なにも墓相にのっとってお墓を建てなくても、きちんとご先祖のお祀りができていれば、万事うまくいきます。 ところが墓相を気にする人の多くは、これを逆に考えてしまうようです。 つまり、いま自分があれこれと問題を抱えているのは、お墓のせいではないかと考えてしまいます。 そういうお墓造りをして自分がよくなろうというような考えは捨ててください。 お墓は自分のために建てるのではなく、亡くなったご先祖のために建てるという根本的なことを忘れてはいけません。 もちろん、お墓をきちんとお守りできないようでは、家自体も栄えていくはずがありません。 お墓を建てるには、心の余裕と謙虚な気持ちが必要です。 どちらが欠けても、ご先祖に満足していただけるお墓は建てられないと思います。 | ||
| 墓相のすべてが悪いと言っているのではありません | ||
| これまで墓相家と軽蔑してきたのは、人の弱みにつけ込んでおどしたりする悪質なやり口が許せないからです。 墓相家がすべて悪いわけではありません。ご尊家の気持ちになって、より良く納得の往く指導をされる方もいらっしゃいます。ここで言う墓相家は、何でもいいから高いものを売りつけることを目的として、指導料と称し法外な費用をとろうとしている者を言います。 そして大なり小なり、一部の霊園や石材店と結びついているようです。 一般的な墓相の説の中には、賛同できるところもあります。 といっても墓相としてではなくて、ご先祖を正しく祀るお墓のあり方としてであることは言うまでのありません。 例えば、お墓は仏を迎えて戒名を刻んだ形でご先祖を祀るものだ、という考えを明確に打ち出している墓相もあるのです。 勿論、同感です。 また、納骨室には赤土を入れるものと主張しています。 この考え方にも賛成です。 赤土はローム層の土(砂に粘土、シルトあるいは有機物の混入した土壌)でいちばん化石が出てこないことでも解るように、お骨を土にとかす性質を持っているのです。 しかし、こういう墓相の説には、お墓の寸法とか、いろいろな吉凶に関する説明が付け加わってくるため、元の考え方までおかしくなってしまいます。 勿論、そういう吉凶は全く関係ありません。 そのほか墓相では、お墓を私たちの住む家に見立てて、日当たりや水はけの良いところを選ぶとか、墓地内に大木があるのは木の根が墓石の下にまで伸びてお墓を傷つけるので避けるようになどと言います。 お墓といえども、条件が良いに越したことはありませんから、納得できます。 しかしこれも、そのよしあし、吉凶が遺族に及ぶという説にまで発展すると、もうついていけません。 | ||
| 一般的な墓相ですすめるお墓づくりは、五輪塔と位牌墓とお地蔵さんの三組セット方式です | ||
| 墓相家はともかくとして、一般的な墓相の考え方も説明しておきましょう。 お墓づくりにはこういう考え方もあるということを知っておいてください。 一般的な墓相では、まず供養塔としての五輪塔を建てて、代々夫婦単位で位牌墓を建てていく、子供が亡くなったらお地蔵さんに祀るという三組セットのお墓づくりをすすめています。 墓地がいっぱいになったら、死後50年以上たって祖霊(*)となった位牌墓を順に取り除き、五輪塔に合祀して、取り除いたあとに新しい代の位牌墓を建てていきます。 この場合、取り除いた墓石は無縁塚に積みます。 問題点も数多くあります。 第一に、とても大きな墓地が必要になるということです。 理想的には間口12尺(3.6m)奥行き9尺、最低でも畳三枚分は必要です。 こんなに広いスペースはとても寺墓地では望めません。 数多くの墓石と広い墓地を必要とするものだけに費用もかかります。 最低でも500万円くらいはかかり、高いものなら天井知らず、1,000万円を軽く超すものもあります。 また、家で祀っている仏壇に仏壇相がないのは毎月ご住職がお祀りをされるから口を出すことが出来ず、また宗派別に正しく祀られているから墓相家からケチをつけられるところがないということです。 悪墓相家の不合理な考え方を排除するためにも、お墓も仏壇と同じ考え方で、正しく祀らなければいけません。 いまは墓地不足のおりから、一基で代々祀ることが普通になっている時代です。 当社のお墓に対する考え方は、これからの新しいお墓づくりに、きっとお役に立つと確信しております。 尚、文中で仏教に限定した表現を用いましたが、そのほかの宗教の方には何卒ご理解を賜りますよう末尾ながらお詫びを申し上げます。 | ||
| * 祖霊 日本人の先祖崇拝では、死者の霊魂は一閧 | ||